出会いと別れ、そしてスタート|幼稚園

特定行政書士|寺島朋弥

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寺島行政書士事務所ブログ

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出会いと別れ、そしてスタート

新年度が明けて、一週間が経ちました。

保育園は慣れ保育の真っ最中で、幼稚園も入園の時期。こどもたちも、急激な環境の変化でストレスが溜まる時期だと思うので、しっかり家庭でケアしてあげられたらいいですね。うちの子も、先週の学童の日々の中、一日だけ突然高熱を出したなんてこともありました。

もう一つ、年度代わりというと、職員さんたちも異動が多い時期ですね。頻繁に訪問している園では、保育職員の先生たちとも顔見知りになることが多く、お別れは寂しいものです。中には離職の挨拶メールを私のような出入り業者の一人にわざわざくださったりして、保育職の方は人間的に素敵な方が多いなと感心するものです。

出会いと別れ、そして慣れ保育がひと段落したら、いよいよ年間カリキュラムが進むことになります。

こどもたちは慣れていっても、保育関係者(現場の先生だけでなく我々バックオフィス関係者も)はいつも緊張感を持って、くれぐれも「慣れない」ようにしていきたいものですね。

令和7年度の幼児教育・保育業界が素敵な年になりますように…!

特定行政書士 寺島朋弥

2025年4月9日

幼稚園と相続

昨今の認可保育園や介護事業等いわゆる補助金事業の常識をご存知の方からは意外に思われるのですが、私立幼稚園には個人事業主によって設置され、運営されているところがまだまだ存在します。(経緯は割愛しますが現在は個人による新規設置は不可能。)

幼稚園に限らずどんな個人事業でも共通ですが、その事業主が亡くなった時の対応が問題になります。財産云々の部分は相続ということになりますが、例えば従業員を雇用している場合の雇用契約関係、顧客との契約関係、行政から補助金を受けている場合のその権利関係等、権利主体である個人の死亡によってあらゆる法律関係がリセットされることになります。

特に公的な色の強い学校(幼稚園)の場合、相続というよりも設置者が変更されるという概念になるため、行政手続きの観点でも非常に面倒(書類の数で言えば新規設置に近い量の書類が必要)なことになるのです。私も年に1~2件は幼稚園と相続の相談をお受けしておりますが、複数の専門家が共同して取り掛かる一大プロジェクトになってしまうことも多々あります。

相続手続自体は私は専門ではないので基礎知識程度しかありませんが、相続だけでも場合によっては全国各地に住んでいる十人以上の相続人から実印や印鑑証明書をもらったり、家庭裁判所の手続きが絡んだりするケースもあり得るというのに、早急に行うべき幼稚園の設置者変更認可申請で何十枚、場合によっては100枚超えの申請書を準備するなんてとんでもない負担になることでしょう。

それらを少しでも軽減するためには、可能であれば事前に事業継承をしておくか、代表者のままでいたいのであれば学校法人を作っておくということになります。事業継承であれば、設置者変更認可の手続き自体はほとんど変わりありませんが(相続書類の添付がない程度)、相続と同時でない分、負担は軽減されることになります。

学校法人化は、正直なところ作る時の手続きは設置者変更の比ではなく非常に大変ですが、その後は恒久的に経営主体が変わらないことになるので(ご本人が亡くなっても理事長が変わるだけ。理事長変更の手続きは手数はあるけど簡単。また代表権者を同時に2名以上置くことも可能なので緩やかに引継ぎもできる。)、子孫のことを考えると十分検討に値すると思います。

幼稚園経営であれば公認会計士さんや税理士さんと並走していることと思いますが、行政手続きの観点で検討段階から一緒に相談に応じることも可能ですので、事業継承の準備をお考えの場合は、お気軽にご相談ください。

特定行政書士 寺島朋弥

2025年1月27日

学校法人不正問題と小規模幼稚園

連日報道されている東京女子医科大学の不正問題には唖然とするばかりです。

いよいよ今年の4月から改正私立学校法が施行されますが、これはそもそもここ6~7年の間に相次いで発覚した私立大学の不正問題に対処するため、学校法人全体を厳しく監督するために制定された改正法です。

関連する者として一番迷惑を被っているのは、幼稚園1園のみを経営する真面目で小規模な学校法人だと思います。

昨年は改正私学法対応で多くの幼稚園と関わってきましたが、多くは少子化の現実と向き合いながら細々と経営されていて、あり余ったお金で優雅に暮らしているような経営者なんて少なくとも私を頼ってくださった法人には存在しませんでした。

日々の事務仕事も、特に新制度に移行していたり認定こども園になっている園は非常に煩雑になっているのにも関わらず、ギリギリの人数で何とか対応されていて、特に難しい部分のみを会計士であったり私などに委託して何とか回しているところが多いのです。それが大きな規模の大学の相次ぐ不正事件の影響を受けて、学校法人全体のガバナンスが強化され、法人運営が益々煩雑で難しくなってしまった訳です。(法人の規模に応じてガバナンス強化の差違はあるものの、幼稚園単体の法人であっても旧法に比べたら格段に煩雑になっています。)

もっとも、幼稚園も多くが公費で運営されている事実はあるので、社会福祉法人のように監督を厳しくすべきだという意見も一理あるとは思いますが、歴史的にみると一概には言えないところがあります。多くの個人立幼稚園は、資産家などが私財を投げうって設立し、今があるという事実があり(それによらないケースも勿論多々あります)、そもそも行政による福祉が原点である保育所とは根本が違っていたりするのです。その意味でも、何でもかんでもがんじがらめにするのではなく、少なくとも建学の精神による自由は認めるべきだというのが私の考えでもあります。

私は学校法人の中では幼稚園や幼保連携型認定こども園の運営法人としかお付き合いがないため、どうしても幼稚園の観点で考えてしまうのですが、一部の大学のために事務が大変煩雑になってしまった今回の法改正に対しては、実は疑問に感じている部分もあったりします。まともに運営している小規模な幼稚園がこれ以上大変な状況にならないよう、大学等を経営されている学校法人もしっかりと運営していってもらいたいと思うものです。そして、私としても各園の負担にならないようにサポートする方法をいろいろ考えていきたいと思っている次第です。

特定行政書士 寺島朋弥

2025年1月14日

幼稚園訪問

先日はスポットで寄附行為変更のご依頼を受けている学校法人さんの園にお邪魔しました。

幼稚園(本記事では幼稚園型や幼保連携型認定こども園含む。)と言えば広い園庭に大型遊具がたくさんあるところが多いですが、都会の幼稚園はなかなかそうはいきません。しかし、昨日訪問した園の園庭は、狭いながらもとても工夫されていて感動しました。さすがに遊具は置けないのですが、土と水による遊びの環境が整えられていて、都会の住宅地の中でも常に自然と触れ合える素敵な環境で、子どもたちが伸び伸びと遊んでいる姿が印象的でした。

私はここ数年間、趣味で大学の幼児教育分野の授業を履修(15単位程度ですが)してきたこともあり、お客様の園を訪問するとついつい学術的な視点で観察してしまう癖がついてしまっていて、園長先生とそういった観点でついつい話が盛り上がってしまうこともあります。行政書士の職能とは関係のないところではありますが、私もお客様と同じく、究極の目的は子どもたちの幸せですので、そういった部分でお話ができるのは嬉しいものです。ちなみに、保育園の場合は行政指導監査の視点で見てしまいがちで、これはもはや職業病だと思っています。(笑)

今年は私学法改正のおかげ?で、多くの学校法人さんとお付き合いすることができました。これまでは社会福祉法人の保育園のサポートが中心でしたが、今後は学校法人幼稚園とも積極的に関わっていけたらと思っています。

特定行政書士 寺島朋弥

2024年12月19日

無資格コンサルタント

医療・福祉分野のような公共政策と密接な業界の周辺には、弁護士や行政書士といった国家資格を持たずに活動するいわゆる無資格コンサルタントが数多く存在します。

純粋なアドバイスだけであれば問題ないのですが、有償(無料を謳っても事実上コンサル料の中に含まれていたら×)で書類作成を行うことは行政書士法違反で、お客様の代わりに行政機関と折衝することは弁護士法違反に当たる可能性が高いです。

とはいえこういった公共政策に近い案件は、個人事務所では処理できないことが多く、実際取り扱っている専門家が非常に少ないため、そういったコンサルタント会社に助けられているお客様が数多くいるのも事実です。なので、全てを排除すべきだなどとは思いませんが、年に数件は、制度を理解せずに業務を進めてしまい、手に負えない状況になってから解約されてうちに依頼がくるケースがあり、非常に憤りを感じることがあります。

業務としては法人設立や施設建設が関係する大型案件から、処遇改善等加算や各種変更申請(今年でしたら学校法人の寄附行為変更認可申請がとても多いです!)といった、年間通して発生する業務についての相談も結構あります。

お客様はそれで行政に目をつけられる上に、無駄な支出をしている訳ですからとんでもない話です。それにHPなどでは「書類作成”サポート”」と書かれていても、そういったいわゆるリカバリー案件では、コンサルタント会社の名称や「納品物」は私に提供されますからね…。

ちなみに医療分野は、東京都行政書士会の中に専門部門ができ、今年は日本行政書士会連合会の監察活動でも重点項目になったようで、ある程度牽制はきくのかなと思いますが、児童福祉や幼児教育分野は全くといっていいほどそういった動きはありませんので、ますます危惧しているところです。

保育業界、幼稚園業界をはじめ、私は手助けできませんが障害福祉や介護業界の皆様も、くれぐれもお気をつけください。

なお、違法行為はせずに、まともに活動されているコンサルタント会社ももちろん存在しますことを申し添えておきます。

特定行政書士 寺島朋弥

2024年11月14日

理想(建前)と現実

福祉や教育といった、公共政策に近い業界の法律を扱う業務を遂行する上で、常に意識しなければならないのが理想(建前)と現実のバランスです。

現在は令和7年度施行の改正私立学校法への対応準備で、お客様や事務所スタッフ、関係する専門家と毎日のように意見交換する機会が多く、そのことを特に感じる日々です。

役員を選任したり、監督したり、解任したりといったガバナンス部分はもちろんのこと、日々の運営においても、外部業者と契約(工事に限らず物品購入であっても)するときは入札が必要な場合もあり、基準を定めるときはそのバランス感覚が求められるのです。

こういった公共色が強い業界の収益源は、多くが公金です。理事会等でこの辺りの話が出る際には、監事さんが専門家の場合、憲法論(89条公の支配論)で議論になることが多いですが、多くの公金が使われている以上、公の支配(言ってみれば市民による監視)に属する必要があるという理屈は正当と言える訳です。

しかし、法律で掲げられた理想(建前)と、現場での現実は、必ずしも一致せず、法律により委ねられた自治権(定款や寄附行為で決められる裁量のある部分)を最大限に活用し、調整を図る必要があります。

ところが、規程整備の際、行政機関や社会福祉協議会が出しているようなモデル規程(定款や寄附行為含む。)をそのまま踏襲すると、理想に偏り過ぎるガバナンス体制が構築されてしまう危険?があります。つまり、現実を把握した上で、法の範囲で絶妙なバランスが取れる体制を構築する必要があるのです。

その意味では、私が今年度時々書いている改正私学法に関するブログ記事も、正直理想論に偏っています。理由は、現実は現場(お客様)によって違うため、一概には言えないことと、専門家という立場上、理想からあえて離れるようなことを公の場で発言する訳にもいかないためです。

当然、お客様からの依頼に基づき、業務として進める際は、ブログでは書いていないようなことを沢山提案することになりますが、そここそがお客様が一番求めている部分かと思っています。

今、全国の学校法人がおかれている状況は、非常に面倒くさいと思われるかもしれませんが、理想と現実のバランスを整えるチャンスだと捉えるのがよろしいかと思います。この夏から冬にかけて、手続きが本当に大変だと思います。私が直接お手伝いできるのは、幼稚園か認定こども園の学校法人に限らせていただいておりますが、私立学校法という、根拠法が同じである全ての学校法人の実務を行う人たちを同志だと思って心から応援しています。

特定行政書士 寺島朋弥

2024年8月3日

【改正私学法】特別利害関係者とは

来年4月施行の改正私学法では、役員等(理事・監事・評議員)の要件が細かく定められ、小規模の幼稚園が今回の制度改革によって一番お困りなのが親族等の「特別利害関係者」ではないでしょうか。

法律(改正私立学校法31条6項)で明記されているのは「配偶者」と「三親等以内の親族」と「その他省令で定めるもの」とありますが、現時点では本改正に係る省令がまだ公布されていませんが、パブリックコメント(意見公募)の案の時点では、以下が特別利害関係者にあたるとされていました。

  1. 事実婚である者
  2. 使用人である者(要するに役員等から雇われている者)
  3. 役員等から金銭を得て生計を維持している者
  4. 2と3の配偶者
  5. 1から3の三親等内の親族かつ同一生計者

個人的にはそれぞれ自活している同性パートナーはどうなるのだろうとか、いろいろ気になってしまいますが、本題から逸れるのでそれはまた別の機会に。(細かい突っ込みどころを議論したい専門家の先生大歓迎です!)

さて、元々親族経営が多い幼稚園の業界では、結構厳しく思われる条件ではないでしょうか。しかも、理事だけで考えても、最低の5人の場合はこういった関係者が他に1人もいてはいけません。(理事総数が6人の場合は本人と合わせて2人まで可:1/3ルール)

しかし、私学助成や施設型給付費の原資は公金(税金)であり、幼稚園であっても認定こども園であっても、運営費の多くを公金に頼ることになる以上、ガバナンスを強化することは必要なことと考えます。

正直なところ、社会福祉法人も7年前の制度改革の時はどうなることかと心配しましたが、何だかんだ言って経過措置の間にしっかりと対応し、遵法意識が高くなった法人が多いです。(今でも一部残念な事件はありますが…)しかし、私の周りでは、遵法意識が高い法人が運営する園ほど、定員充足率が高く、経営的にも潤っているところが多いのが事実です。

ぜひ、この制度改革を機に、より多くの学校法人幼稚園(認定こども園)がガバナンス強化に本気で取り組み、地域の子どもたちの利益になる園が日本中に増えることを願っています。

特定行政書士 寺島朋弥

2024年6月5日

業歴10年

行政書士歴満10年になりました。本日から11年目に入った訳です。

2014年の開業当初は、子ども・子育て支援新制度の施行まで1年を切っている時期で、各地で同制度周知のシンポジウムや勉強会が開催されており、私も様々な会合に参加していました。

その頃は残念なことに当時の新法・子ども・子育て支援法や認可の根拠である改正児童福祉法絡みの行政手続きを率先して取り扱うべき先輩行政書士の姿はお見受けすることができず、孤独な中、必死になって勉強していました。先輩行政書士にこの業務について相談しても、「保育分野は難易度が高いので個人事務所では無理だよ」と言われたものです。しかし、私は諦められず、絶対形にするという思いで勉強を続けて、幸いなことに1年目のうちに新制度の認可案件に恵まれることができました。当時のお客様とは今でもお付き合いがありますが、本当に感謝しています。

あれから10年が経ち、行政書士の中にもこの分野を取り扱う人が徐々に増えてまいりました。しかし、保育所や幼稚園の新設に伴う認可業務は、少子化が止まらない限りなくなっていくことは避けられません。したがって、今後は既存の施設が適法に運営しながら、保育方針・建学の精神の理念を実現できるように背後から経営陣を支えることが重要になってくると思っています。

今後ももちろん認可案件(各種変更や認定こども園化も含む)も積極的に取り扱ってまいりますが、社会福祉法人や学校法人のガバナンス支援に特に力を入れてまいる所存です。

今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

特定行政書士 寺島朋弥

2024年5月1日