行政書士事務所と雇用|行政書士事務所

特定行政書士|寺島朋弥

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寺島行政書士事務所ブログ

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行政書士事務所と雇用

行政書士業界は、他の士業と比較して従業員の雇用が極端に少ないと言われています。

昨年日本行政書士会連合会が実施した行政書士実態調査の集計結果によると、補助者を1人以上雇用している行政書士は22.3%となっていますが、そもそもこの調査への回答は任意であり、回答数(母数)は3084人。5万人中3千人、つまり全体の6%しか回答していない調査です。そして、こういった調査に回答する行政書士は、いわゆる「意識の高い」行政書士が多いと思われ、その中でさえ補助者雇用が2割ということは、全体では更に低いことが推測されます。

他士業では、試験に合格したあと、登録する前に一定期間事務所での勤務(修行)経験が必要な場合がありますが、行政書士ではそれは成り立たないということで、別の考え方をすれば、修行する機会がなく、実務経験ゼロのまま開業せざるを得ない人が多いということでもあります。

私は補助者さん(内一人は行政書士志望)と一緒に仕事をしておりますが、業務量的に必要だということも勿論ありますが、同時に行政書士志望者については若い芽を育てたいという意識も持っています。

支部などで同業者と交流していると、実際出会う人の8~9割はお一人で経営されている印象を受けますが、決してそれを否定するつもりはありません。一人で十分こなせる業務分野もありますし、そういった方は、大きな案件は同業者同士でチームを作って共同受任するなどして、上手にこなされているので、それも立派な経営手法だと思います。

私の場合は、繁忙期の業務量的に補助者が必要不可欠ということもありますが、おそらくプライベートを犠牲にして死ぬ気でやれば一人でもできますし(新人の頃保育の認可案件を一人でこなした経験あり)、そのほうが同じ売上高でも所得が増えるのは間違いありません。それでもあえて通年雇用し続けている理由は三つあり、一つ目は先に挙げた理由(若者育成)と、二つ目はプライベートを大事にしたいからです。

我が家には小学3年生と年長組の二人の子がおりますが、子どもの成長は儚いもので、瞬く間に大きくなっていき、今この時の姿は二度と戻ってくることはありません。仕事と家庭を両立したいから、業務の一部を補助者さんに手伝っていただいているのです。そして、子どものイベント参加や通院のために事務所を留守にするときに、あえて補助者さんに正直に伝えているのも、自身が将来経営する立場になったときに参考にしてもらいたいという思いもあったりします。

そして三つ目の理由は、お客様である経営者と共感するには、自分も同じ重圧を感じ続けるべきだと思うからです。雇用を続けるためにはそれなりに売上を出し続けないといけません。特に労働集約型のサービス業だと人件費比率が高いので、仕事を取り続けないといけないという重圧感は半端ではありません。そういった環境に身を置いたことがある人にしか分からないことは確かにあり(言葉では説明不可能)、そのことで共感することにより互いにリスペクトし合うことができる部分が確かにあることを日々経験しているからです。

これから経営者さんを相手にする仕事をしたいと思っている新人同業者さんがこの記事を参考にして、自身の将来の経営方針に役立ててもらえたら幸いです。

特定行政書士 寺島朋弥

補足

こういった事務所経営の記事をご覧になり、うちで働きたいというご連絡をいただくことがあるのですが、申し訳ございませんが臨時の採用は行っておりません。うちも零細事務所でしかなく、専門分野(幼保)の特殊性からもこれ以上の採用はとても考えられませんので、その点はご理解いただければ幸いです。

2024年7月30日

新年度スタート

今朝は年長さんになったばかりの子どもを保育園に連れていき、担任の先生とご挨拶。昨年度の担任が持ち上がりだったので、「今年もよろしくお願いします」と交わし、子どもを託しました。

保育園の4月1日がどういうものなのか、仕事柄よく知っているので、ベテラン保護者はそそくさと退場。特に乳児担当の保育士さんたちが慣れ保育を安全に乗り切れますようにと祈りつつ。

そして、うちの事務所も新しいメンバーを迎えました。士業事務所のスタッフは、種別によって求められる能力は違い、特に行政書士事務所は専門が千差万別な上に、業界全体として雇用が少ないので(儲かる儲からないとかいう問題ではなく、一人で黙々と進めるほうが効率がいい業務が多いのも実情)、修行のための就職が困難なことは確かです。

特にうちの事務所は保育法務という、行政書士業界の中でも珍しい分野が中心なため、将来のこの分野の担い手を育てるためにも、行政書士志望の補助者を育てることは必要なことだと考えています。うちで働きたいと、わざわざ選んでくれた訳なので、責任をもって育てつつ、お客様とその園児たちのために共に尽くしていきたいと思います。

特定行政書士 寺島朋弥

2024年4月1日

開業初年度のお話

この記事はどちらかというと行政書士試験合格者向けとなります。時期的に、先月合格発表があったばかりで、早い人は登録・開業準備をしている頃かと思うので、少しでも参考になればと思います。

私は2014年5月1日開業ですが、それまではプロフィールにもあるとおり、演劇関係の仕事をしていましたので、行政書士どころか、法律関係の仕事とは無縁でした。しかし、即独(先輩の元で修行を積まずに独立開業すること)を決意できた訳は、資格受験予備校伊藤塾の存在が大きかったのは事実です。

現在は名称がやや変わっていますが、当時は「実務開業講座」という名称で、確か自分は3期生だったと思います。

当時のカリキュラムは、行政書士のメジャー業務の概要をいくつかと、経営論といった簡単な内容でした。正直なところ、実務にすぐに役に立つようなものではありませんでしたが、同じような人が毎週のように顔を合わせて学べたのは本当に貴重な経験になりました。

その中で、やはり一番役に立ったのは、経営論でした。開業するということは、経営者になるということで、経営の知識かセンスのどちらかは持っていないと成り立ちません。その事実を早い段階で気づけたのは本当にありがたいことでした。3年くらいで廃業してしまう人が多いのは事実ですが、ほとんどは共通して経営者マインドが不足しているような方が多い印象です。したがって、独立開業を目指すなら、何よりも経営者マインドを培うことこそが大事だと思います。

ちなみに、私は開業当初から漠然と保育園の許認可専門になりたいという夢はありましたが、先行事例(当時は保育を専門に扱う行政書士などいなかった)がなかったため、完全に手探りでした。保育園の園長先生が集まるような研修会に参加させてもらったり、政府の子育てシンポジウム、様々な自治体の子育て関連事業者向けのイベントに参加して、とにかく自分の存在を知ってもらうことに必死な1年でした。

幸運にも1年目から保育園の新設に関わることができ、しかもそれを何とか一人で乗り切ることができて(当時は周囲に保育を扱ったことのある先輩が皆無だったため)自信につながりました。

つまり私は、経営の厳しさを1年目に座学を通して知り、がむしゃらに行動し、によってお客様と巡り合い、依頼を受けることで、幼保専門行政書士としてのスタートを切ることができたということになります。

行政書士事務所の経営は、とても大変なことですが、自分の好きな分野を専門にできると、案件を達成したときの喜びはとても大きく、とても幸せになれる仕事です。現在、開業を目指して頑張っている方たちは、ネット上の声で不安になることもあるかとは思いますが、そういった声だけに振り回されず、何が何でも夢を達成するという気概を持って臨まれるのがよろしいかと思います。

なかなか子ども分野に関心を持たれる方が少ないのは10年やっていて痛いほど分かっていますが、もしもこの記事を読んで、多少なりとも子ども分野に関心を持たれる方がいらっしゃれば、それだけでも嬉しく思います。

特定行政書士 寺島朋弥

2024年2月23日