【改正私学法】現行役員等の任期について|評議員

特定行政書士|寺島朋弥

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寺島行政書士事務所ブログ

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【改正私学法】現行役員等の任期について

学校法人制度改革について、どこも対応の真っ最中かと思います。

今回は理事・監事・評議員(以下「役員等」)の新制度移行期の任期について解説してみようと思います。

来年4月から改正法が施行されることになりますが、大前提として来年6月に行われる定時評議員会終結時までに、役員等のそれぞれの要件を満たしている人に統一する必要があります。言い換えれば、現時点で改正法の役員等の要件を満たしていない人は、来年の定時評議員会終結時点までに要件を満たさない限り、続けることができないということです。したがって、現在の役員等の全員が選任要件を満たしていることが前提となっていることをご承知おきください。

さて、法改正時の移行期は、様々な問題や矛盾点が発生するものですが、現行役員等の任期もその一つです。これまでの学校法人は、任期については寄附行為自治が認められており、無期限も有り得ましたが、改正法では寄附行為自治ではあるものの、法定上限があり、理事は4年、監事と評議員は6年が上限となり、その期間内で寄附行為で定めるのは自由ということになっています。個人的な感触では、上限ぎりぎりを定める法人が多いように思います。

そうなると、現在無期限であったり最近選任(重任)され、まだまだ任期が残ってる人がどういう扱いになるかということが問題になると思います。答えは、次のいずれか早い方までということになります。

  1. 現在の任期満了日
  2. 令和9年6月の定時評議員会終結の時

当然ですが、現在無期限の人は、2が適用されることになります。

以上が法令の解説というか、原則論です。しかし、これを原則どおり適用するだけで何も手を打たないでいると、法人によっては役員ごとに任期がバラバラになり、毎年のように選任手続きが必要な状態になってしまうケースがあるので要注意です。

そこで、そうなり得る場合に私が顧問先におすすめするのは任期調整です。簡単に言えば、最初の選任手続きが起こる時に、役員等全員に一度辞任していただき、あえて全員を改選することで任期を揃えることができます。正確には違いますが、強引に言えば解散総選挙みたいなイメージです。

しかし、こういったテクニックを使う場合は、何ヶ月も前から事前調整(根回し)が不可欠ですし、手続きの書類に一つでも問題(漏れや期限遅滞等)があれば、最悪の場合、後々法的に無効になることだってあり得るため十分な注意が必要です。ちょっと変わったことをやる場合は、まずは相談だけでもいいので専門家の知恵を借りることをおすすめします。

当事務所はこういった事案の対応経験は豊富で、相談だけでもお受けしておりますので(ただし本事案のような個別具体的なケースは初回から有料です)、お気軽にご連絡ください。

特定行政書士 寺島朋弥

2024年7月19日

【改正私学法】理事の選任方法

令和7年4月1日施行の改正私学法について、実務を進める中で思いついた時に気まぐれに書いてみようと思います。体系的に連載する予定はありませんのでご了承ください。

あくまでも私の見解ですが、幼稚園や認定こども園では評議員会を選任機関にしたらいいと思っています。他に考えられることとしては、理事選任・解任委員会のような機関を別に設置し、そこに委ねるといった方法もありますが、その機関を運営するための規則が必要になったり、委員の管理や会議を開催するための手続きが増えることになります。(ここではあえて書き(け)ませんが、そうすることによる経営陣にとってのメリットもデメリットも当然あります。)

しかし、どうしても小規模法人である幼稚園や認定こども園の場合、いろいろ小細工をして手続きを複雑化するよりも、ストレートに評議員会に委ねるのがいいと思うのです。他の機関を置いた場合でも、結局のところ評議員会の関与(諮問)は必要ですので、それならば建学の精神に共感してくれる信頼できる評議員を集めて、その方たちに委ねるという形が健全ではないでしょうか。

ちなみに私は保育所や認定こども園を運営する社会福祉法人とのお付き合いが多く、2017年の制度改革の際にも関与していますが、社会福祉法人の場合は理事・監事の選任・解任権限は評議員会と法定されているため、動かしようがないのですが、少なくとも私が関与しているところは健全な運営ができているところばかりです。

中には評議員会で評議員が理事長を含む理事に対して意見・注文を付けるような場面もありますが、子どもたちの最善の利益を追究するという共通の目的がある限り、それは健全な議論であり、対立関係ではありません。これからの学校法人は、現在の社会福祉法人と同様に、理事が自分たちの教育・保育方針(もちろん収支も大事ですが…)について自信を持って評議員会に説明し、それを理解していただくことで身分を保証(理事に選任される・解任されない)してもらうという形を作っていくべきではないでしょうか。

最後はほとんど私の個人的な思いになってしまい恐縮ですが、各法人の寄附行為作成に向けての参考にしていただければ幸いです。

なお、類似の懸案事項として、評議員の選任・解任はどうするのかというのがあるかと思います。この点についても社会福祉法人制度も参考にはなりますが(とはいえあちらもこの点は定款自治の範囲)、学校法人ならではの設計ができると思っており、とても興味深く思っているところです。また気が向いたら事例や考え方をまとめて書いてみたいと思っています。

特定行政書士 寺島朋弥

2024年4月24日