行政書士の専門性
法律系士業は、社会保険労務士は労務、税理士は税務・会計、公認会計士は会計・監査、司法書士は登記、弁理士は特許・商標といった具合に、資格と専門分野が明白なものが多いですが、弁護士と行政書士はそうはいきません。
基本的に法律事務なら何でも扱える弁護士と、他士業法で禁止されている部分を除いたら何でも扱える行政書士は、共に守備範囲が広すぎるので、通常は専門分野が分かれていきます。行政書士の中にはオールラウンドを謳っていて、基本的な許認可は何でも扱うけど、難易度の高い案件はその分野の専門の人を紹介するといった町医者のようなスタイルの人もいらっしゃり、私自身もそういった同業者からの紹介も多いものです。
よく経営コンサルタントや顧問税理士さんに「2つの行政書士事務所と継続的に取引するのは無駄なので、一つにまとめたほうがコスト削減になる」と助言されたとお客様がおっしゃるのですが、それは何かの分野に専門特化しているベテラン行政書士が同時に入っているとしたら「耳鼻科と整形外科二人の医師(国家資格としては同一)に診てもらうのは無駄なので、どちらか一方に絞ったほうがコスト削減になる」と言ってるのと同じくらいナンセンスなことであったりします。実際、共通のお客様に同業者が複数ついているケースでは、それぞれ他の方の専門分野は扱ったことはなく、お互いそれを一から勉強する余裕もないので、まとめて引き受けるようなことは考えられない状況だったりします。
行政書士も医師のように第三者機関が専門性を認定する仕組みを作ったらどうかという意見もあるようですが、いろいろと課題が多く、実現するのは容易ではない思います。そうなると、専門性を世間に認めてもらうには、各々が日々探求し、地道に実績を積み上げていき、その実績自体を評価してもらうしかないと思います。
以上、他士業者を含めて世間にはあまり知られていない行政書士の専門性について一例を挙げてみました。全ての行政書士が専門分野を持っている訳ではないのですが、参考にしていただければ幸いです。
特定行政書士 寺島朋弥
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