行政書士と源泉税
保育園や幼稚園は、普段行政書士と取引する機会が少ないところが多いためか、取引の最初の請求時に「源泉税は引かなくていいのですか?」と聞かれることがあります。
税理士や社会保険労務士といった士業事務所とは継続的に取引があることが多いですし、体操・歌の指導(講師)やフリーカメラマンといったフリーランスとも取引が多い場合があることから、「個人事業主からは源泉徴収する」という認識なのだと思います。
しかし、源泉徴収が必要な職種(業務)は所得税法で明示されていて、数ある士業の中でも、行政書士業務は何故か含まれていないのです。よって、行政書士からは「原則として」源泉徴収は必要ありません。この件については、WEB上でもたくさん記述はありますし、国税庁HPでも明示されているところなので、細かい話はそちらに譲ります。
先ほど「原則として」と記しましたが、免除されるのはあくまでも「行政書士業務」の部分のみです。例えばデザインが得意な行政書士が、行政書士業務とWEBデザインの仕事を個人として同時に請け負った場合、WEBデザインの対価に対しては源泉徴収が必要なので注意が必要です。
なお、本題からは逸れますが、領収証への収入印紙についてもちょっとした特別扱いがあり、個人の士業は基本的に領収証への収入印紙が免除されています。特に行政書士の場合は、報酬の領収証は交付義務があるため(お客様がいらないと言っても、法律上の義務のため交付しないといけません。)、案外ありがたい制度だったりします。
ちなみに士業法人の領収証は、収入印紙が免除されていないため、金額に応じた印紙税が必要となります。(電子の場合は不要)
建設業といった日頃から行政書士と取引のある業界であれば常識でしょうけど、保育園のように普段あまり行政書士と接することのない業界の経理さんに疑問に思われがちな点について書いてみました。
特定行政書士 寺島朋弥
2024年6月8日
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