行政書士事務所の経営|ブログ

特定行政書士|寺島朋弥

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寺島行政書士事務所ブログ

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行政書士事務所の経営

個人事業主の確定申告の時期になりました。士業事務所も多くは個人事業であるため、所長にとっては他人事ではないでしょう。また、時期的に行政書士については開業準備をされる方が増える時期ですので、事務所経営の話を書いてみようと思います。

行政書士事務所を開業するにあたってよく聞かれるのは「専門分野をどうすべきか」という点です。行政書士は弁護士以外の他士業に比べて守備範囲が極端に広いので、「何でもできます=何もできない」と思われるなんていう声も聞こえてきます。

しかし、これはケースバイケースだと思います。開業場所によっては仕事を選んでいられなく、また同業者の数が少ないことからいろいろな業務をこなせるようにならないといけないケースもあるでしょうし、東京のようにまるでコンビニのように行政書士事務所が乱立している状況だと差別化しないと生き残りづらいというケースもあると思います。

私の場合はたまたま開業時から「保育園や幼稚園のサポートがしたい」と、やりたいことが絞れていて、当時はまだほとんど未開拓分野だったので自ずと専門特化していくしかなかった訳ですが、支部などで周囲を見てみると「許認可なら大抵なんでもこなすけど、保育のような1件に何年もかかるような案件には手を出さないのでその時はよろしく」といった同業者も案外いらっしゃることに気付きました。

よって、現時点で特段何かやりたい分野がなく、何を専門にしようかなと思っている状況でしたら、この形(基本なんでもやるけどコスパ悪い大型案件は専門の人に任せる)が一番いいような気がします。個人事業ってしっかりとした仕事をしたら紹介が連鎖することが多いので、自ずと繰り返す業務が多くなり、それが専門になっていくという形も多いのではないでしょうか。

あとは自宅開業か事務所を借りるかで開業資金も運転資金も変わってきますし、スタッフを雇用するかどうかで経営の次元が変わるといっても過言ではありませんが、それらについてはまたの機会に書いてみようと思います。

特定行政書士 寺島朋弥

2025年2月13日

就労証明書

保育園や学童クラブを利用する際に求められる就労証明書。

以前はいちいち会社の代表印を押してもらう必要があり、特に大企業に勤めている人は大変な手続きだったと思います。しかし、コロナ禍から脱ハンコの流れが加速し、今では各自治体のホームページからダウンロードしたExcelデータの中に必要事項を入力し、提出もExcelデータのまま送信というところが多くなっています。

保護者記入欄以外は勤務先の人事担当者が入力し、最終的に子どもの名前等を保護者が追加入力して完成ということになりますが、電子署名といった作成者の真正を担保する手続きが一切ないため、やろうと思えば一人で全部完結させたり、会社が入力した内容を後で編集することも…。

大体は上部に勤務先に無断で作成・改変をしたら刑法罪になるといった牽制文があると思いますが、あの一文で本当に効果があるのかと思う方も多いと思います。

しかし、Excelには(設定にもよりますが)編集した時間やアカウントといった履歴が残る機能がありますし、何より自治体から勤務先に問い合わせが来ることもあります。(実際にうちのスタッフの就労証明書の内容に関して、スタッフの居住自治体から私宛に問い合わせが来たこともあります。)

刑法云々も大事ですが、公的なことで虚偽申請をすると、本当に取り返しのつかないことになってしまうので、くれぐれも「軽い気持ちで…」「忙しい時期に人事に負担かけたくない…」とかはないようにしましょう。

以上、行政手続きのプロからの忠告でした。

とはいえ、今の就労証明の仕組みは多いに問題があると思っています。せっかく国で作った統一書式に基づいて運用されているのだから、電子署名とまでは言いませんが、ICT技術を駆使してオンライン上で作成者の真正を担保する仕組みは作って欲しいものです。上手くいけば様々な行政手続で使用できる汎用性の高い仕組みになると思うので、多少の予算はかけてもいいのではと思っているところです。

特定行政書士 寺島朋弥

2025年2月4日

幼稚園と相続

昨今の認可保育園や介護事業等いわゆる補助金事業の常識をご存知の方からは意外に思われるのですが、私立幼稚園には個人事業主によって設置され、運営されているところがまだまだ存在します。(経緯は割愛しますが現在は個人による新規設置は不可能。)

幼稚園に限らずどんな個人事業でも共通ですが、その事業主が亡くなった時の対応が問題になります。財産云々の部分は相続ということになりますが、例えば従業員を雇用している場合の雇用契約関係、顧客との契約関係、行政から補助金を受けている場合のその権利関係等、権利主体である個人の死亡によってあらゆる法律関係がリセットされることになります。

特に公的な色の強い学校(幼稚園)の場合、相続というよりも設置者が変更されるという概念になるため、行政手続きの観点でも非常に面倒(書類の数で言えば新規設置に近い量の書類が必要)なことになるのです。私も年に1~2件は幼稚園と相続の相談をお受けしておりますが、複数の専門家が共同して取り掛かる一大プロジェクトになってしまうことも多々あります。

相続手続自体は私は専門ではないので基礎知識程度しかありませんが、相続だけでも場合によっては全国各地に住んでいる十人以上の相続人から実印や印鑑証明書をもらったり、家庭裁判所の手続きが絡んだりするケースもあり得るというのに、早急に行うべき幼稚園の設置者変更認可申請で何十枚、場合によっては100枚超えの申請書を準備するなんてとんでもない負担になることでしょう。

それらを少しでも軽減するためには、可能であれば事前に事業継承をしておくか、代表者のままでいたいのであれば学校法人を作っておくということになります。事業継承であれば、設置者変更認可の手続き自体はほとんど変わりありませんが(相続書類の添付がない程度)、相続と同時でない分、負担は軽減されることになります。

学校法人化は、正直なところ作る時の手続きは設置者変更の比ではなく非常に大変ですが、その後は恒久的に経営主体が変わらないことになるので(ご本人が亡くなっても理事長が変わるだけ。理事長変更の手続きは手数はあるけど簡単。また代表権者を同時に2名以上置くことも可能なので緩やかに引継ぎもできる。)、子孫のことを考えると十分検討に値すると思います。

幼稚園経営であれば公認会計士さんや税理士さんと並走していることと思いますが、行政手続きの観点で検討段階から一緒に相談に応じることも可能ですので、事業継承の準備をお考えの場合は、お気軽にご相談ください。

特定行政書士 寺島朋弥

2025年1月27日

寄附行為変更認可後のこと

改正私学法施行に伴う寄附行為変更認可申請ですが、申請期限が早かった県から徐々に認可が出始めております。

しかし、認可が出たからといって安心できないのが今回の改正です。評議員の報酬に関する定めや、評議員の選任・解任方法に関する具体的な定めを寄附行為に入れていない場合、別に細則を用意する必要があったりするので要注意です。

これらの細則は、寄附行為からの委任規程という形であれば基本的に行政手続は発生しないので、理事会だけで制定できることが多いため、3月の事業計画・予算承認理事会に合わせて決議するのがいいでしょう。とはいえ、3月の理事会は現行(旧)寄附行為に基づく理事会であり、細則の施行は新寄附行為が発効する4月1日になるのが通常でしょうから、理事に異動がある場合等、気をつけないといけないポイントはいくつかあるので要注意です。

正直、3月は社会福祉法人の対応で手一杯なため、実務的なサポートは難しいと思いますが、オンライン相談(有料)といった対応は可能ですので、これらの手続きでお困りの学校法人(幼稚園・認定こども園に限る)さんはまずはご相談ください。

それにしても、準備期間(文科省サイト等での事前勉強)を含めると3年越しくらいの私立学校法改正でしたので、いよいよ施行かと感慨深いものがあります。法の趣旨が実現されるように、今後も学校法人さんのガバナンスを支援していけたらと思っているところです。

特定行政書士 寺島朋弥

2025年1月22日

学校法人不正問題と小規模幼稚園

連日報道されている東京女子医科大学の不正問題には唖然とするばかりです。

いよいよ今年の4月から改正私立学校法が施行されますが、これはそもそもここ6~7年の間に相次いで発覚した私立大学の不正問題に対処するため、学校法人全体を厳しく監督するために制定された改正法です。

関連する者として一番迷惑を被っているのは、幼稚園1園のみを経営する真面目で小規模な学校法人だと思います。

昨年は改正私学法対応で多くの幼稚園と関わってきましたが、多くは少子化の現実と向き合いながら細々と経営されていて、あり余ったお金で優雅に暮らしているような経営者なんて少なくとも私を頼ってくださった法人には存在しませんでした。

日々の事務仕事も、特に新制度に移行していたり認定こども園になっている園は非常に煩雑になっているのにも関わらず、ギリギリの人数で何とか対応されていて、特に難しい部分のみを会計士であったり私などに委託して何とか回しているところが多いのです。それが大きな規模の大学の相次ぐ不正事件の影響を受けて、学校法人全体のガバナンスが強化され、法人運営が益々煩雑で難しくなってしまった訳です。(法人の規模に応じてガバナンス強化の差違はあるものの、幼稚園単体の法人であっても旧法に比べたら格段に煩雑になっています。)

もっとも、幼稚園も多くが公費で運営されている事実はあるので、社会福祉法人のように監督を厳しくすべきだという意見も一理あるとは思いますが、歴史的にみると一概には言えないところがあります。多くの個人立幼稚園は、資産家などが私財を投げうって設立し、今があるという事実があり(それによらないケースも勿論多々あります)、そもそも行政による福祉が原点である保育所とは根本が違っていたりするのです。その意味でも、何でもかんでもがんじがらめにするのではなく、少なくとも建学の精神による自由は認めるべきだというのが私の考えでもあります。

私は学校法人の中では幼稚園や幼保連携型認定こども園の運営法人としかお付き合いがないため、どうしても幼稚園の観点で考えてしまうのですが、一部の大学のために事務が大変煩雑になってしまった今回の法改正に対しては、実は疑問に感じている部分もあったりします。まともに運営している小規模な幼稚園がこれ以上大変な状況にならないよう、大学等を経営されている学校法人もしっかりと運営していってもらいたいと思うものです。そして、私としても各園の負担にならないようにサポートする方法をいろいろ考えていきたいと思っている次第です。

特定行政書士 寺島朋弥

2025年1月14日

謹賀新年

あけましておめでとうございます

昨年は改正私立学校法施行のための学校法人の寄附行為認可申請に大忙しの一年でした。今年は4月からいよいよ同法が施行されます。寄附行為を変えたら終わりではなく、法改正の趣旨に則り、しっかりと法人運営ができるよう関与先には継続して支援させていただける体制を作れたらと思っております。

保育園(主に社会福祉法人)関係の支援についても、これまでのスタイルを継続していけるよう、取り組んでまいります。昨年は3名の保育士兼行政書士の方と協業することで、複数の学校法人支援を抱えながらも保育園関係の支援も縮小することなく行うことができました。今年もそれらで得た知見を活かしつつ、開業以来一貫している保育園支援にますます力を入れてまいります。

すべては子どもたちの笑顔のため

事業者さんと想いを同じくし、日々の業務に取り組んでまいります。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

寺島行政書士事務所
特定行政書士 寺島朋弥・補助者一同

2025年1月1日

予算編成

国会で補正予算が通りましたが、社会福祉法人も法人によってはこの時期に補正予算を決議したりしており、今週はそのための理事会対応でバタバタしています。特に今年は公定価格改定を視野に入れると、多くは必要になってくるのではないでしょうか。

保育園は年が明けると、4月からの新入園児対応で事務方が忙しくなりますが、法人運営としても来年度の事業計画や予算編成が始まり、給食業務を委託している場合等、業者との契約金額によっては入札の準備も始まるため、年内で片付けておけることは片付けておきたいと考えるのは自然なことです。

考えてみるとこの辺は行政機関と似ていると思います。社会福祉法人の顧問業務が忙しいのは毎年1~6月なのですが、補正予算を年内にやりたいと考える法人さんが増えてくると実質12月から7ヶ月間の繁忙期と言えるのかもしれません。(苦笑)

ちなみに事業計画や予算の中身まで深く関与するのは、総合的な顧問契約がある場合のみです。理事会関係をスポットでご依頼いただく場合、議案の内容までは責任は持てませんので、その点はご了承くださいませ。

特定行政書士 寺島朋弥

2024年12月25日

幼稚園訪問

先日はスポットで寄附行為変更のご依頼を受けている学校法人さんの園にお邪魔しました。

幼稚園(本記事では幼稚園型や幼保連携型認定こども園含む。)と言えば広い園庭に大型遊具がたくさんあるところが多いですが、都会の幼稚園はなかなかそうはいきません。しかし、昨日訪問した園の園庭は、狭いながらもとても工夫されていて感動しました。さすがに遊具は置けないのですが、土と水による遊びの環境が整えられていて、都会の住宅地の中でも常に自然と触れ合える素敵な環境で、子どもたちが伸び伸びと遊んでいる姿が印象的でした。

私はここ数年間、趣味で大学の幼児教育分野の授業を履修(15単位程度ですが)してきたこともあり、お客様の園を訪問するとついつい学術的な視点で観察してしまう癖がついてしまっていて、園長先生とそういった観点でついつい話が盛り上がってしまうこともあります。行政書士の職能とは関係のないところではありますが、私もお客様と同じく、究極の目的は子どもたちの幸せですので、そういった部分でお話ができるのは嬉しいものです。ちなみに、保育園の場合は行政指導監査の視点で見てしまいがちで、これはもはや職業病だと思っています。(笑)

今年は私学法改正のおかげ?で、多くの学校法人さんとお付き合いすることができました。これまでは社会福祉法人の保育園のサポートが中心でしたが、今後は学校法人幼稚園とも積極的に関わっていけたらと思っています。

特定行政書士 寺島朋弥

2024年12月19日

癒しのひと時

本日は補助者さんと一緒に顧問先の保育園を訪問しました。長時間の作業でしたので、お昼に給食をいただいたのですが、同行した補助者さんは給食をいただくのは初めてで感激していました。(余った食材なので、子どもの分を貰ってるということはありませんのでご安心を。)

そして、ちょうど我々のお昼の時間に、0ちゃんの健診が行われていて、その様子を眺めながらの食事でしたので、二人で癒しの時間を堪能できました。入園当初の4月は、ねんねやハイハイだった子たちが、この時期にはほとんどヨチヨチ歩きをしています。横を通ると上目遣いでこちらを見つめてきて、本当にかわいいんですよね。

開設認可案件が終わり開園したばかりの保育園を見るのも嬉しいものですが、やはり子どもたちの姿を直に見られること以上の喜びはありません。この仕事をしていて良かったなぁと幸せとやり甲斐を感じられるひと時です。

補助者さんも、普段はPCを使ってひたすら書類作成をしてくれていますが、たまには自分の目で現場を見ることも大事だと思うので、今後もできるだけこういった機会を作っていきたいものです。

特定行政書士 寺島朋弥

2024年12月10日

お楽しみ会

公立保育園は、12月中旬~下旬に、赤い服を着たおじいさん(中身は園長先生であったり用務員さんであったり)がプレゼントを配ったり、外国の曲に合わせて子どもたちがキャンドルサービスを行うといった「お楽しみ会」が実施されると思います。中にはそれに伴って、私立の認可保育園に対しても同様にするように指導しているところもあったりします。

これは憲法20条3項で公共機関の宗教的活動が禁止されていることを気にしての対応だと思われますが、個人的には昔からこの対応には疑問を感じています。そもそも全ての子どもたちは頭の中で「おたのしみ」を「クリ○マス」に変換し、赤い服を着たおじいさんのことも、2歳児でもおうちの人には「サ○タさんが来たよ」と話していますから。(笑)

名称の問題ではなく、実質的にやってることが何なのかということであり、さらにはクリスマスを宗教活動だと思いながら楽しんでいる人が今の日本人の中にどれほどいるのかという話だと思います。

※この論点とは別に特に外国人等、宗教上の理由がある場合は配慮が必要なのは言うまでもありません。

ちなみに私立認可保育園に対する同様の指導は、憲法20条3項は民間法人には当てはまりませんので、誤りであるというのが私の認識です。(保育所については委託である以上、どうしても議論の余地は残ってしまいますが…。とはいえ小規模園はOKで保育所はNGというのも奇妙ですが。)堂々と実施して、もし指導を受けた時は喜んで議論に参加しますので、お気軽にご相談ください。(笑)

特定行政書士 寺島朋弥

2024年12月9日