寄附行為変更認可後のこと|ブログ

特定行政書士|寺島朋弥

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寺島行政書士事務所ブログ

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寄附行為変更認可後のこと

改正私学法施行に伴う寄附行為変更認可申請ですが、申請期限が早かった県から徐々に認可が出始めております。

しかし、認可が出たからといって安心できないのが今回の改正です。評議員の報酬に関する定めや、評議員の選任・解任方法に関する具体的な定めを寄附行為に入れていない場合、別に細則を用意する必要があったりするので要注意です。

これらの細則は、寄附行為からの委任規程という形であれば基本的に行政手続は発生しないので、理事会だけで制定できることが多いため、3月の事業計画・予算承認理事会に合わせて決議するのがいいでしょう。とはいえ、3月の理事会は現行(旧)寄附行為に基づく理事会であり、細則の施行は新寄附行為が発効する4月1日になるのが通常でしょうから、理事に異動がある場合等、気をつけないといけないポイントはいくつかあるので要注意です。

正直、3月は社会福祉法人の対応で手一杯なため、実務的なサポートは難しいと思いますが、オンライン相談(有料)といった対応は可能ですので、これらの手続きでお困りの学校法人(幼稚園・認定こども園に限る)さんはまずはご相談ください。

それにしても、準備期間(文科省サイト等での事前勉強)を含めると3年越しくらいの私立学校法改正でしたので、いよいよ施行かと感慨深いものがあります。法の趣旨が実現されるように、今後も学校法人さんのガバナンスを支援していけたらと思っているところです。

特定行政書士 寺島朋弥

2025年1月22日

学校法人不正問題と小規模幼稚園

連日報道されている東京女子医科大学の不正問題には唖然とするばかりです。

いよいよ今年の4月から改正私立学校法が施行されますが、これはそもそもここ6~7年の間に相次いで発覚した私立大学の不正問題に対処するため、学校法人全体を厳しく監督するために制定された改正法です。

関連する者として一番迷惑を被っているのは、幼稚園1園のみを経営する真面目で小規模な学校法人だと思います。

昨年は改正私学法対応で多くの幼稚園と関わってきましたが、多くは少子化の現実と向き合いながら細々と経営されていて、あり余ったお金で優雅に暮らしているような経営者なんて少なくとも私を頼ってくださった法人には存在しませんでした。

日々の事務仕事も、特に新制度に移行していたり認定こども園になっている園は非常に煩雑になっているのにも関わらず、ギリギリの人数で何とか対応されていて、特に難しい部分のみを会計士であったり私などに委託して何とか回しているところが多いのです。それが大きな規模の大学の相次ぐ不正事件の影響を受けて、学校法人全体のガバナンスが強化され、法人運営が益々煩雑で難しくなってしまった訳です。(法人の規模に応じてガバナンス強化の差違はあるものの、幼稚園単体の法人であっても旧法に比べたら格段に煩雑になっています。)

もっとも、幼稚園も多くが公費で運営されている事実はあるので、社会福祉法人のように監督を厳しくすべきだという意見も一理あるとは思いますが、歴史的にみると一概には言えないところがあります。多くの個人立幼稚園は、資産家などが私財を投げうって設立し、今があるという事実があり(それによらないケースも勿論多々あります)、そもそも行政による福祉が原点である保育所とは根本が違っていたりするのです。その意味でも、何でもかんでもがんじがらめにするのではなく、少なくとも建学の精神による自由は認めるべきだというのが私の考えでもあります。

私は学校法人の中では幼稚園や幼保連携型認定こども園の運営法人としかお付き合いがないため、どうしても幼稚園の観点で考えてしまうのですが、一部の大学のために事務が大変煩雑になってしまった今回の法改正に対しては、実は疑問に感じている部分もあったりします。まともに運営している小規模な幼稚園がこれ以上大変な状況にならないよう、大学等を経営されている学校法人もしっかりと運営していってもらいたいと思うものです。そして、私としても各園の負担にならないようにサポートする方法をいろいろ考えていきたいと思っている次第です。

特定行政書士 寺島朋弥

2025年1月14日

謹賀新年

あけましておめでとうございます

昨年は改正私立学校法施行のための学校法人の寄附行為認可申請に大忙しの一年でした。今年は4月からいよいよ同法が施行されます。寄附行為を変えたら終わりではなく、法改正の趣旨に則り、しっかりと法人運営ができるよう関与先には継続して支援させていただける体制を作れたらと思っております。

保育園(主に社会福祉法人)関係の支援についても、これまでのスタイルを継続していけるよう、取り組んでまいります。昨年は3名の保育士兼行政書士の方と協業することで、複数の学校法人支援を抱えながらも保育園関係の支援も縮小することなく行うことができました。今年もそれらで得た知見を活かしつつ、開業以来一貫している保育園支援にますます力を入れてまいります。

すべては子どもたちの笑顔のため

事業者さんと想いを同じくし、日々の業務に取り組んでまいります。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

寺島行政書士事務所
特定行政書士 寺島朋弥・補助者一同

2025年1月1日

予算編成

国会で補正予算が通りましたが、社会福祉法人も法人によってはこの時期に補正予算を決議したりしており、今週はそのための理事会対応でバタバタしています。特に今年は公定価格改定を視野に入れると、多くは必要になってくるのではないでしょうか。

保育園は年が明けると、4月からの新入園児対応で事務方が忙しくなりますが、法人運営としても来年度の事業計画や予算編成が始まり、給食業務を委託している場合等、業者との契約金額によっては入札の準備も始まるため、年内で片付けておけることは片付けておきたいと考えるのは自然なことです。

考えてみるとこの辺は行政機関と似ていると思います。社会福祉法人の顧問業務が忙しいのは毎年1~6月なのですが、補正予算を年内にやりたいと考える法人さんが増えてくると実質12月から7ヶ月間の繁忙期と言えるのかもしれません。(苦笑)

ちなみに事業計画や予算の中身まで深く関与するのは、総合的な顧問契約がある場合のみです。理事会関係をスポットでご依頼いただく場合、議案の内容までは責任は持てませんので、その点はご了承くださいませ。

特定行政書士 寺島朋弥

2024年12月25日

幼稚園訪問

先日はスポットで寄附行為変更のご依頼を受けている学校法人さんの園にお邪魔しました。

幼稚園(本記事では幼稚園型や幼保連携型認定こども園含む。)と言えば広い園庭に大型遊具がたくさんあるところが多いですが、都会の幼稚園はなかなかそうはいきません。しかし、昨日訪問した園の園庭は、狭いながらもとても工夫されていて感動しました。さすがに遊具は置けないのですが、土と水による遊びの環境が整えられていて、都会の住宅地の中でも常に自然と触れ合える素敵な環境で、子どもたちが伸び伸びと遊んでいる姿が印象的でした。

私はここ数年間、趣味で大学の幼児教育分野の授業を履修(15単位程度ですが)してきたこともあり、お客様の園を訪問するとついつい学術的な視点で観察してしまう癖がついてしまっていて、園長先生とそういった観点でついつい話が盛り上がってしまうこともあります。行政書士の職能とは関係のないところではありますが、私もお客様と同じく、究極の目的は子どもたちの幸せですので、そういった部分でお話ができるのは嬉しいものです。ちなみに、保育園の場合は行政指導監査の視点で見てしまいがちで、これはもはや職業病だと思っています。(笑)

今年は私学法改正のおかげ?で、多くの学校法人さんとお付き合いすることができました。これまでは社会福祉法人の保育園のサポートが中心でしたが、今後は学校法人幼稚園とも積極的に関わっていけたらと思っています。

特定行政書士 寺島朋弥

2024年12月19日

癒しのひと時

本日は補助者さんと一緒に顧問先の保育園を訪問しました。長時間の作業でしたので、お昼に給食をいただいたのですが、同行した補助者さんは給食をいただくのは初めてで感激していました。(余った食材なので、子どもの分を貰ってるということはありませんのでご安心を。)

そして、ちょうど我々のお昼の時間に、0ちゃんの健診が行われていて、その様子を眺めながらの食事でしたので、二人で癒しの時間を堪能できました。入園当初の4月は、ねんねやハイハイだった子たちが、この時期にはほとんどヨチヨチ歩きをしています。横を通ると上目遣いでこちらを見つめてきて、本当にかわいいんですよね。

開設認可案件が終わり開園したばかりの保育園を見るのも嬉しいものですが、やはり子どもたちの姿を直に見られること以上の喜びはありません。この仕事をしていて良かったなぁと幸せとやり甲斐を感じられるひと時です。

補助者さんも、普段はPCを使ってひたすら書類作成をしてくれていますが、たまには自分の目で現場を見ることも大事だと思うので、今後もできるだけこういった機会を作っていきたいものです。

特定行政書士 寺島朋弥

2024年12月10日

お楽しみ会

公立保育園は、12月中旬~下旬に、赤い服を着たおじいさん(中身は園長先生であったり用務員さんであったり)がプレゼントを配ったり、外国の曲に合わせて子どもたちがキャンドルサービスを行うといった「お楽しみ会」が実施されると思います。中にはそれに伴って、私立の認可保育園に対しても同様にするように指導しているところもあったりします。

これは憲法20条3項で公共機関の宗教的活動が禁止されていることを気にしての対応だと思われますが、個人的には昔からこの対応には疑問を感じています。そもそも全ての子どもたちは頭の中で「おたのしみ」を「クリ○マス」に変換し、赤い服を着たおじいさんのことも、2歳児でもおうちの人には「サ○タさんが来たよ」と話していますから。(笑)

名称の問題ではなく、実質的にやってることが何なのかということであり、さらにはクリスマスを宗教活動だと思いながら楽しんでいる人が今の日本人の中にどれほどいるのかという話だと思います。

※この論点とは別に特に外国人等、宗教上の理由がある場合は配慮が必要なのは言うまでもありません。

ちなみに私立認可保育園に対する同様の指導は、憲法20条3項は民間法人には当てはまりませんので、誤りであるというのが私の認識です。(保育所については委託である以上、どうしても議論の余地は残ってしまいますが…。とはいえ小規模園はOKで保育所はNGというのも奇妙ですが。)堂々と実施して、もし指導を受けた時は喜んで議論に参加しますので、お気軽にご相談ください。(笑)

特定行政書士 寺島朋弥

2024年12月9日

保育園と健康保険証

12月2日から健康保険証が発行が停止され、介護施設等の入所施設に関しては随分前から今度どのようにすべきか判断に困っているといったニュースがありましたが、実は保育園も他人事ではありません。

保育園では基本的に入園の際に健康保険証と医療証のコピーを預かり、嘱託医等の提携医療機関と予め協議をした上で、緊急時は原本がなくても保険診療を受けられるという形にしておくことが通常です。幼稚園や認定こども園の1号児もおそらく同様の扱いをしてるのではないでしょうか。

現在の保険証も最長来年の12月1日までは使えるため、1年間は問題は生じないものと思われがちです。

しかし、今年の12月2日以降に保護者の転職等で保険証が変わったり、紛失したりした場合、もう保険証は発行されないことになります。来年度の0ちゃんも、月齢によってはそもそも保険証を持っていません。その際にどういう扱いにするかを予め決めておかないと、いざという時に混乱を招いてしまいかねないと思います。

まず、保険診療の原則になってしまったマイナ保険証を預かるといったことは、入所施設ではない保育園では考えられないことです。そうなると「資格確認書」や「資格情報のお知らせ」といったもののコピー(医療証はおそらく当分の間紙のままなので従来どおり)を預かり、その写しで保険診療が可能か、予め医療機関と協議をする必要がありそうです。

この問題は保育園にとっては1年余裕があるという訳ではなく、いつこの状況が発生してもおかしくない問題なので、今のうちから対応をしっかり考えておくことをおすすめします。

特定行政書士 寺島朋弥

2024年12月5日

ボーナス

年末のボーナスの時期ですね。お客様の園でも概ね査定は終わり、賞与計算の段階に入っているところです。

雇用されて働く人たちにとっては、ボーナスは大きな楽しみだと思いますが、私のような個人事業主の場合は、個人財産の支出なので、ついついこの時期が来たかなんて思ってしまうこともあります。(春~初夏の納税ラッシュよりはマシですが。(笑))

そこで、私は補助者さんに対する感謝の気持ちを形で示す機会と捉えるようにしています。実際、うちのような経営スタイルの事務所は、補助者さんの力無しでは成り立ちません。その感謝の気持ちをこめて、毎月の労働の対価とは別に、形で示すことができればと考えるようにしています。

もう既に年末年始にかけて、監査だのなんだのといろいろな話が出てきていて、何故日本人はわざわざ師走を忙しくさせるのかなんて思ったりもしますが、ある意味師走のテンションだから乗り越えられるとも言えるのかもしれません。そのためにも、気持ちよくボーナスの時期を迎えたいと思います。

特定行政書士 寺島朋弥

2024年11月27日

保育士の処遇改善

本日、保育士の人件費を10.7%引き上げることを国の経済対策に盛り込むという報道がありました。

職員(保育士資格者以外の保育補助者・調理員・看護師・事務職員等全て含める必要あり)の人件費を大幅に上げること自体は大賛成です。そのうえで制度設計時に考慮してもらいたいことは、必ず人件費として使うように制限をかける必要があると思います。そして、処遇改善等加算Ⅲのように、手厚い配置をすればするほど、一人あたりの取り分が少なくなるような仕組みではなく、具体的な数字を出す以上、全て職員に平等に行き渡るようにして欲しいものです。

そして、その賃金上昇を実現できるのであれば、ぜひ人材紹介業者の規制も併せて検討して欲しいものです。現在、常勤保育士を1人雇用するためには、軽く100万円以上の手数料がかかります。赤字経営の法人でも、人材紹介業者に支払う手数料さえなければ黒字という法人は実際に存在しており、そういった法人は、結局人件費を圧縮するしかありません。手数料は雇用する保育士の年収がベースになるため、賃金が上がればその分手数料も上昇し、ますます保育事業者の経営が厳しくなることが目に見えています。

人材紹介業者から貰える「お祝い金」欲しさに転職を繰り返す保育士さんも、結局は保育職員全体の賃金を圧縮することにつながっている現実を、是非認識していただきたいところではありますが、国にはこのあたりの実態をしっかり調査して、施設に給付した補助金等が当たり前に人件費に回って、無駄な流出がないかチェックして、必要な対策を行っていただきたいものです。

なお、毎週のようにお客様の現場に通ったり、保育者向け研修会などで現場職員の生の声を聞いてきている者としてあえて言わせていただきますと、低賃金に困っているという現場の声は案外少ないもので、それよりも余裕を持って保育にあたれるように配置基準を改善して欲しいという声のほうが圧倒的に多いと感じています。

1~2歳児6人を一人で見たり、まだまだ第一次反抗期の3歳児20人を一人で見るというのがどういうことか想像してみてください。保育士は国家資格者であり、保育のプロという前提はあるものの、3歳児が20人いる実際の現場を、是非制度設計をする役人さんたちにも見て欲しいものです。その際は、彼女ら彼らは、自分が楽をしたいから言っているのではなく、子どもの安全を考えて、かつ一人ひとりの子どもと丁寧に向き合いたいという思いでそれを言っているということを受け止めて欲しいと思います。

予算編成の際には、今の職員さんの賃金改善はもちろんですが、配置基準の改善も含めて広い意味での処遇改善を図っていただきたいものです。

特定行政書士 寺島朋弥

補足

冒頭の10.7%云々はあくまでも今年度の補正予算案に関する話です。本記事とは別の論点ですが、この補正予算案が順調に通った場合、昨年度同様に4月に遡って大幅な委託費等の収入があり、人件費支出が発生することになるため、各法人の予算も大幅な見直しの必要が生じます。来年度当初予算に合わせて、補正予算も慎重に政治の動向を見極める必要がありそうです。

2024年11月22日