行政書士の専門性|ブログ

特定行政書士|寺島朋弥

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寺島行政書士事務所ブログ

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行政書士の専門性

法律系士業は、社会保険労務士は労務、税理士は税務・会計、公認会計士は会計・監査、司法書士は登記、弁理士は特許・商標といった具合に、資格と専門分野が明白なものが多いですが、弁護士と行政書士はそうはいきません。

基本的に法律事務なら何でも扱える弁護士と、他士業法で禁止されている部分を除いたら何でも扱える行政書士は、共に守備範囲が広すぎるので、通常は専門分野が分かれていきます。行政書士の中にはオールラウンドを謳っていて、基本的な許認可は何でも扱うけど、難易度の高い案件はその分野の専門の人を紹介するといった町医者のようなスタイルの人もいらっしゃり、私自身もそういった同業者からの紹介も多いものです。

よく経営コンサルタントや顧問税理士さんに「2つの行政書士事務所と継続的に取引するのは無駄なので、一つにまとめたほうがコスト削減になる」と助言されたとお客様がおっしゃるのですが、それは何かの分野に専門特化しているベテラン行政書士が同時に入っているとしたら「耳鼻科と整形外科二人の医師(国家資格としては同一)に診てもらうのは無駄なので、どちらか一方に絞ったほうがコスト削減になる」と言ってるのと同じくらいナンセンスなことであったりします。実際、共通のお客様に同業者が複数ついているケースでは、それぞれ他の方の専門分野は扱ったことはなく、お互いそれを一から勉強する余裕もないので、まとめて引き受けるようなことは考えられない状況だったりします。

行政書士も医師のように第三者機関が専門性を認定する仕組みを作ったらどうかという意見もあるようですが、いろいろと課題が多く、実現するのは容易ではない思います。そうなると、専門性を世間に認めてもらうには、各々が日々探求し、地道に実績を積み上げていき、その実績自体を評価してもらうしかないと思います。

以上、他士業者を含めて世間にはあまり知られていない行政書士の専門性について一例を挙げてみました。全ての行政書士が専門分野を持っている訳ではないのですが、参考にしていただければ幸いです。

特定行政書士 寺島朋弥

2024年11月7日

年長さんの折り返し地点

約1ヶ月前の10月上旬に我が子が通う園の運動会が終わり、その後、毎週末のように顧問先から運動会無事終了の報告をいただく中で、空気も次第に秋めいてまいりました。

園庭に並んでいるチューリップの球根が植えられた鉢を見ると、いよいよ1年の折り返しを過ぎたことを実感させられます。

年長さんにとっては、クリスマス、節分行事の前後どこかに発表会が入り、いよいよ卒園式を始めとするお別れ行事盛りだくさんいったところです。この間にも、本人や親御さんは就学時健康診査や入学説明会、家庭によっては受験と、環境が目まぐるしく変わっていく時期です。

しかし、今や多数を占める保育園児にとって、生活の中心は日々の園生活です。行事も確かにいい面はあるけど、日々の園生活で積み重ねていく経験のほうが、心の発達という観点では大事なんだろうなと思います。

我が子についても、幼児期最後の時期だからといって特別な体験にこだわることなく、毎日の生活を楽しく過ごしていけることを願いつつ、そのサポートを担ってくれている保育者さんに感謝の気持ちを忘れないようにしたいと思います。

また、仕事の面では、多くのご家庭の年長さんを同様に育んでくださっている保育者さんが働きやすい環境を整えるため、日々精進してまいります。

最後の平成生まれの子どもたちの幸せを願って!

特定行政書士 寺島朋弥

2024年11月3日

士業の敬称

我々のような士業者の敬称は「先生」となることが多いものですが、私が専門とする幼稚園や保育園業界のお客様からは、そのように呼ばれることは滅多にありません。おそらく、園長先生等の経営者からすると自園のスタッフは基本的にみんな「先生」(幼稚園教諭なんて法律的にもガチで教師)であり、仲間内の呼称といった感覚があるからだと思います。

そういった意味では、私の場合はお客様に対して「園長先生」や「理事長先生」と呼ぶことがあり、私のことをわざわざ先生付けするのは、一部の例外を除いて同業者や他士業者くらいで、補助者さんからも「さん」付けで呼ばれているので、一般的な士業者の感覚とは違うかもしれないと思っています。

また、士業同士が先生と呼び合うのはいかがなものかといった意見を耳にしたことがあり、某SNSのグループでは先生付けを禁止にしているところがあるといったことも聞いたことがありますが、私自身は別に気にしなくていいのではと思っています。お互いに敬意を持つのは社会人として大切なことですし、特に私の場合は日頃から保育園の先生同士が先生付けで呼び合っているのを見慣れているからなのかもしれませんが。

要するに呼称の形ではなく、相手に敬意を払っているかどうかの問題だと思うのです。

特定行政書士 寺島朋弥

2024年10月28日

行政書士試験

行政書士試験は行政書士法に基づいて実施される国家試験で、毎年11月の第二日曜日に実施されるため、今年は11月10日です。私も11年前は受験生でしたので、肌寒い日が訪れるとあの独特の緊張感を思い出すものです。

今年からは試験制度の一部が変わり、一般知識の中で行政書士法からも出題がある予定とのこと。

「行政書士は行政書士法を知らずに開業するので、業際のことをろくに分かっておらず、他士業法で禁止されている業務(いわゆる非弁行為や登記等)に手を出す人が多い」というのはネットでよく目にします。私からすると試験科目に関わらず自分自身の職業の根拠法を知らずに開業すること自体、法律を扱う専門家として大問題だとは思いますが、もしもそこの部分が問題視されての改正だとしたら、試験対策としては独占業務(1条の2)・法定業務(1条の3)あたりを抑えておく必要がありそうですね。ちなみに私は試験とは全く関係のない人間なので、あくまでも私見です。(笑)

ちなみに業際に関して言えば、他士業者と連携して同じお客様をサポートするのは本当に楽しく、またお互いにいろいろな気付きがあるもので、そういう機会を捨ててわざわざ他士業法を侵すメリットなど全く考えられません。長年専業でやってきている人ほど、それを強く感じているのではないでしょうか。とはいえ、他士業法違反容疑で逮捕される同業者が毎年何人も出ているのは事実なので、試験の段階でしっかりと釘を刺しておくというのもいいのかもしれませんね。

何はともあれ、私も現役行政書士の一人として、受験生の皆さまの健闘を心から祈っております。

特定行政書士 寺島朋弥

2024年10月23日

行政書士の代理行為

行政書士は、書類作成だけでなく、他の法律で制限がない限り通常の許認可等の行政手続を代理することができると法定されています。(書類作成や提出は事実行為だから民法上の代理ではないという議論は本記事では考慮しません。)

ところが、私の専門分野(幼児教育・保育)のように、あまり行政書士が関与していない分野の場合、初めて関わる行政の窓口では、結構な確率で「当事者以外の提出・補正は認めない」「行政書士の記名と職印を削除するように」といった指導を受けることがあります。

そこでカッとなっても仕方ないので、根拠法を示して一つ一つ説明していくことになります。代理云々はともかく(法定業務なのでお客様が希望されるのなら当然通しますが)、行政書士の記名(職印)押印は、法的義務(行政書士法施行規則第9条第2項)なので、指導に従うことは法令違反となるため受け止める訳にはいきません。(この点は行政が知らないとは言え法令違反を示唆しているという驚きの状況ではあるのですが。)

なお、行政書士の記名押印は、万が一将来的に紛争が生じた場合、特定行政書士として不服申立てを行うような場合に重要な意味を持つので、法令遵守以外の観点でも死守すべき部分です。その点では、昨今のオンライン申請では、代理人の記名欄がない手続きにおいて、この点に不安があったりします。

ちなみに、建設業許可等のいわゆる王道業務の場合、行政側も行政書士に慣れているので、このようなことは起こり得ないでしょう。様式に行政書士の記名押印欄があったりもするようですし。しかし、それらは先輩行政書士が築き上げた信頼関係あっての賜物だと思います。

私も、将来の後輩行政書士たちが幼児教育・保育分野に参入しやすいよう、今は行政との信頼関係を築く役割を担っているのだと肝に銘じ、日々取り組んでいきたいと思っているところです。

特定行政書士 寺島朋弥

2024年10月11日

保育園新設の申請書類の現実

保育園新設の申請書類の量は半端ではありません。例えばプロポーザルの応募時で200~250枚、認可申請と確認申請をあわせて300枚超えも珍しくありません。さらにプロポーザルでは副本を7~8部、多い自治体では20部近く求められることもあり、後者だと段ボール2箱になったりします。そして、ほとんどが窓口持参限定なので、案外体力勝負です。(笑)※そもそも申請書は信書なので、普通の宅配便では送れない事情もありますが。

とにかく先日は段ボール1箱パンパンの案件があり、当然車で申請に行ってきました。これまでは私が自分の車を運転することばかりでしたが、今回は初めて補助者の運転でドライブ。考えてみたら前職(劇団)の頃から仕事で車(8tトラックも運転してました!)を動かすときはいつも運転手だったので、仕事で助手席に座るというのは新鮮でした。私は運転自体も好きなのでこれまで気にならなかったですが、乗せてもらうというのもそれはそれで楽なので、お願いできるときはそうしたいなと思いました。

そんな訳で、幼保案件に取り組みたい同業者の方は、車はあったほうがいいと思います。大量の申請書ばかりでなく、ちょっと郊外だと駅から離れていたりするので、開設後も顧問として関わる場合はなおさらです。逆に都心部は通常園に駐車場がないですし、コインパーキングも異常なくらい高かったりするので微妙ですが。(苦笑)

特定行政書士 寺島朋弥

2024年10月9日

保育士三昧

今日は一日中保育士さんとお話ししていた気がします。

超特急案件の依頼主が保育士さん自身なので、随時連絡を取り合っているというのもありますが、保育士兼行政書士の方2名とオンラインミーティングを行ったり、共同受任をしている保育士兼行政書士と何度も電話対応を行ったり…。他にも顧問先から何度か電話を受けており、多くは保育士さんだったりします。

うちの業務分野の特色的に、特に新設案件が進行しているときは珍しいことでもないのですが、行政手続に関与する保育士さんは総じて頭の回転が速い方が多く、とても仕事がスピーディで関心します。そもそも保育の現場は様々な「事件」が同時多発し、それらを並行して処理していく能力(マルチタスク)が求められるので、必然的に頭の回転が速くなるのだろうなと思ったりしています。

また、独特な空気感というか波長のようなものがあって、私にはそれがとても合っているので気持ちよく仕事をすることができます。

とにもかくにも、皆が皆共通して胸に抱いていることは子どもの最善の利益を追究すること。

立場はそれぞれですが、子どもたちのために日々精進してまいります。

特定行政書士 寺島朋弥

2024年10月3日

新人さん来訪

先週は、先月行政書士登録したばかりの新人行政書士さんが事務所にいらっしゃいました。

まだ登録仕立てということもあって保育士兼業状態で、(いい意味で)いかにも保育士さんって感じで、日頃から多くの保育士さんと接している私としては全く違和感はありませんでした。行動力がとてもあり、児童福祉への思いがとても強く感じられ、いつか一緒に大型案件を携われたらいいなと思っています。

また、その日は私が日頃から連携している司法書士さんの都合が空いていたので、ご紹介することができ、私と司法書士さんは、その新人さんから逆に保育や幼児教育現場の生のお話を聞くことができ、勉強させていただく時間もありました。

他にも共同親権といったホットな話題も意見交換することができ、とても充実していてあっという間の時間でした。

集団は何かと大変なので、団体のようなものは考えていませんが、児童福祉の志を持った者同士の緩いつながりを大事にして、必要な時に意見交換をしたり、助け合える環境を作っていけたら素敵だなと思ったりしています。

特定行政書士 寺島朋弥

2024年9月24日

新設案件

ここのところブログの更新が少なくなっている主な理由は、保育園の新設案件が入ったためです。

もちろん守秘義務があるので具体的なことは書けませんが、受任してから法令・例規をじっくり読み込み、登記情報等を調査し、ラフ図面があがって日々イメージができてくるこの時期はたまらなく好きな期間で、ほぼ徹夜の日々が続いても苦になりません。

そしてお客様の保育への熱い想いと共鳴することができると、命懸けでやってやろうって気になるものです。申請までに将来通う子どもたちの笑顔までイメージできると、大抵その園は常時満員の素敵な園になるので、今回も絶対…!

少子化により保育園の新設案件は激減していますが、やっぱり私の原点はこれなんだなと実感しています。行政書士の核心業務は何といっても許認可ですから。

特定行政書士 寺島朋弥

2024年9月21日

営利法人と福祉

ここ数年、障がい福祉の分野で、取消処分を含む重たい行政処分を受ける株式会社等の営利法人が目立っているように思います。そういったニュースが報じられるとき、よく聞くコメントとして、

「あの運営会社は金儲けが目的としか思えない」

というのがありますが、私に言わせると、それは当たり前のことで、何も不思議なことではありません。株式会社、合同会社といった営利法人の究極の目的は「1円でも多くの利益を出すこと」です。それは法律上の仕組みなので、仕方のないことです。

対して、社会福祉法人、特定非営利活動法人(NPO法人)、一般社団法人等は、非営利法人であり、利益よりも「活動」(福祉であれば福祉事業)が優先され、法人の種別によっては利益を貯め込むことが許されない(利益が貯まったら福祉で還元する必要あり)ほどです。

保育分野で言えば、社会福祉法人の経費の人件費比率(保育士さんたちのお給料)はおおむね7割くらいですが、株式会社は5割程度です。合法的に処理していても、このくらいの差が出るものです。

このように法人の存在目的が全く違うので、本来同列で語るべきではないのです。

福祉は元来、行政の責任で行うという考え方であり、行政(公立)だけでカバーできないため、民間に委託するようになった訳です。とはいえ、福祉事業は巨額の公金を扱うことになるため、当初は、社会福祉法人といった常時行政の厳しい監督を受ける法人に委託していた訳ですが、介護保険制度のスタートをきっかけに、福祉全体がサービス化され、民間に大きく開放されることになった訳です。

そして、株式会社等の営利企業が参入しやすいように、どんどん規制緩和を進めて、企業が儲けやすく(株式会社で言えば利益を出して株主に還元するという存在目的を達成しやすく)していったのは、国なのです。

もちろん、事件化するような、社会正義に反することは許されるべきではありませんし、それは非営利法人であっても同じことです。(社会福祉法人の金銭面の不正も残念ながら毎年報道されています。)

「金儲けをすること」は、営利法人にとっては悪でもなんでもなく、むしろ最優先の存在目的ですらあるので仕方のないことであり、その点を責めたいのであれば、営利法人を安易に参入させ、簡単に儲けさせる仕組みを作っている国(とは言っても究極的には立法機関の国会議員を選んだ自分たち)を責めるべきかと思います。

ちなみに、私の取引先は、9割は非営利法人ですが、一部営利法人もあります。そこの社長さんは、とても人間味があり、子どものことを熱心に考えていることが伝わります。児童福祉に寄与しながら、利益を出す素晴らしい社長さんも実際に知っているので、私個人としては営利法人を参入させることが誤りだとは思っていません。しかし、赤字を理由に突然閉園といったニュースを見聞きする度に、それが法的には間違っていなかったとしても、なんだかな…と思ってしまう時もあるものです。

特定行政書士 寺島朋弥

2024年9月10日