年収の壁

特定行政書士|寺島朋弥

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年収の壁

毎年この時期になると、複数のお客様のところで問題になるのが、パート保育士さんの年収の壁について。これは私が保育園との付き合いが多いからパート保育士というだけで、おそらくスーパーであったり、清掃であったり、配達員であったり、主にパート女性の力で成り立っている業界共通の課題だと思います。

どういうことかと言いますと、年末調整が始まるのに合わせて、今年の年収が概ね把握できてきて、配偶者の扶養のままでいられるかどうか確認する時期となり、超えそうな場合は11月のシフトを減らして12月の収入をわざと減らすことで年収を調整したいと会社に相談することが増える時期なのです。

保育園特有の常勤換算や補助金、シフトに関わる論点についてはここでは論じませんが、単純に突然人手が減ることになるので、シフトを組む人にとっては毎年の悩みの種だったりするのです。しかも、1か月そこらの話なので、そのための補充もないのでなおさら…。

毎年生の声を聞いていますが、政府や多くのメディアがやるべきだと言っている「年収の壁を上げる」ことは万能ではないと思っています。というのは、配偶者が健康保険組合があるような大企業の従業員である場合、中小企業の協会けんぽよりも(扶養を継続するための)厳しい要件を課している場合もありますし、社保(扶養)脱退と同時に会社が独自に支給している配偶者手当がなくなることが大きなダメージという場合もあるからです。

実際、この問題になるケースは、多くが配偶者が大企業の従業員だったりしますので、政府として「年収の壁を上げる」のであれば、全ての大企業が揃わないと意味がないと思います。

更に言えば、「年収の壁を上げる」ということは「扶養でいられる幅を広げる」ことに他なりません。配偶者の片方(しかも多くが女性)が家事を中心に担いつつパートで家計を補助することが前提となっている扶養という考え方そのものを、政府だけでなく大企業を中心とした社会全体で見直す時期なのではないかと個人的には思っています。

さて、こんなことを書いていると、うちのスタッフの年末調整の準備が全くできていないことを思い出したので、この辺りで切り上げます。(苦笑)

特定行政書士 寺島朋弥

2025年10月17日

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