改正行政書士法
本日、改正行政書士法が成立し、来年1月1日から施行されるというニュースが入ってきました。改定点は5点くらいあるのですが、実務に直接関わる部分は特定行政書士制度の改正でしょう。
そもそも特定行政書士というのは、11年前にできた制度で、それまで原則として弁護士しかできなかった行政不服申立ての代理業務が、法定研修を修了した行政書士(特定行政書士)に認められるようになった制度のことなのですが、条件として「行政書士が作成した」書類に関する不服申立てしかできなかったのです。それが今回の改正で「行政書士が作成することができる」に変更されたため、税務・労務・特許といった他士業の独占分野以外の行政手続全般の不服申立てに関われるようになる訳です。
私の実経験では、待機児童問題(「保育園落ちた日本死ね」問題)が深刻だった6~7年前までは、保育園に落ちたことが納得いかないから正式な手続きで行政に文句を言いたいといった相談が結構ありました。ところが、現在の行政書士法では入園申請時に行政書士が関わっていないと不服申立てをすることができないので、アドバイスまでしかできない状況でした。(ちなみに、一般的なご家庭で、保育園の入園申請を行政書士に依頼するといった発想に及ぶ人なんてほとんどいませんが、経営者さんは案外その発想に及ぶようで、経営者さんのお子さんの入園申請書類の作成は当時何度も経験しています。)
しかし、今回の改正法が施行されたら、同じ相談があった場合、いきなり不服申立てから受任することも可能という訳です。(実務として意味があるかは当然別の話です。)もっとも、待機児童問題は全国的に既に解消されていて、激戦区でも数十分歩く園なら必ず入れるといった状況になってるので、少子化問題が解消されて子どもの人数が爆発的に増えない限りは同じ需要は出てこないと思います。
また、他の分野の業務であっても、そもそも行政手続きのプロである行政書士が関与したのに不許可なんてことは通常はあり得ず(許可要件満たしていないならお客様に申請を諦めてもらうのがプロ)、行政書士が申請したのに放置(不作為)されるなんてことも普通は考えられないので、現行制度では、活用の幅が極めて限られていました。その点においては、今後は一般の人が自分で申請して不許可になってから初めて行政書士に相談した場合、再申請か不服申立てかの選択肢が増えるということになるので、国民にとっては使いやすい制度になるのではないでしょうか。
我々特定行政書士にとっても、審査請求等は通常の許認可申請とはまた違うテクニックが必要になる分野なので、いつ関わることになってもいいように改めて気を引き締めてまいりたいと思います。
特定行政書士 寺島朋弥
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