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特定行政書士|寺島朋弥

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寺島行政書士事務所ブログ

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登記

本日は司法書士事務所にお邪魔し、お客様の資産総額変更登記やら理事長変更(重任)登記に関するお客様の重要書類の原本を取り次いできました。

私の議事録作成業務のやり方は、原則として会議の当日に立会い、分単位で事実に従ってリアルタイムに議事録を作成していき、会議終了後、議長や議事録署名人(理事長や監事)に10分ほどお待ちいただき、その場で署名まで終えて完成させ、登記が必要なものであればそのままお預かりして司法書士に取り次ぐというスタイルを取っています。お客様によっては、登記はご自身でされる場合や、普段から取引のある司法書士事務所や法律事務所に直接依頼されるので、その場合は当然その場で納品します。

なお、我々からしたら当たり前のことではあるものの、一般の方はあまり認識されていないので改めて書きますが、行政書士は登記はできません。お客様にはそこのところを丁寧に説明しないといけないのですが、私のやり方は最初に司法書士さんにお客様の園まで同行していただき、理事長等の代表者と対面して説明するようにしています。そうすることで、行政書士と司法書士が別の職業であり、手続きによって分担する必要があり、報酬もそれぞれ別に発生することをイメージとして理解していただきやすくなるのです。

司法書士さんにとっても、その場で本人確認ができますし、私も説明がしやすく、お客様も理解しやすいので、全員にとってメリットのあるやり方だと思っています。

事前にこういうプロセスを踏んで信頼関係を構築しているので、大切な書類を預かり、取り次ぐということを安心して任せていただけるのだと思っています。

ちなみに、法人設立業務も、最後は登記が必要なので、行政書士だけで完結することはできません。だからなのか、最初から司法書士に依頼したらいいという意見もあるようですが、一般の会社設立はともかく、私の専門である社会福祉法人といった公益系法人は、1~2年かけて行政庁との折衝を繰り返して認可を取るというプロセスが前提だったりするので、一概にも法人設立は司法書士だけで完結するとは言えないのが実状なのです。

専門家を検討するときは、単にワンストップのほうが楽で安そうとかいう基準ではなく、それぞれの専門性を考慮しながら選ばれるのがいいかと思います。ちなみに、安さはともかくとして、手続きの煩雑さについては、行政書士と司法書士はお互いがよく知っていて慣れている関係であれば、お客様の手を煩わせることがないようにそれぞれが考えるので、ほぼワンストップに近い形で進められると思います。よって、特に固定の取引先がないのであれば、専門家からの紹介に任せるというのも一つのやり方かと思います。

何はともあれ、今週は社会福祉法人や学校法人は登記だらけだと思います。自分たちで法務を回されている法人の事務員さん、3ヶ月間本当にお疲れ様でした!

特定行政書士 寺島朋弥

2024年6月26日

保育園の同窓会

『エデュカーレ』という保育情報誌を読んでいて、ふと読者の投書コーナーに目が留まりました。

保育園の卒園児が二十歳になって集うという行事をやっている園があり、大ベテランと思われる読者の保育士さんが、当日の出来事をエピソード記述の形で書いており、18年前と現在の情景が鮮明に描かれているとても感動的な記事でした。

私の仕事は、保育そのものではないため、子どもと直接触れ合うことはありませんが、5年以上毎月訪問をしていると、0歳から卒園までの一人の子の成長の断片を見ることができるので、3月のお別れの時期はそれなりに感慨深いものがあったりします。

しかし、毎日長時間一緒に過ごしている保育者は、そういった思いは比べ物にならないものでしょう。そして、一人ひとりの大小のエピソードをその子が大人になっても覚えていたりするものなんだなと。

確かに自分の小学校時代の恩師は、小学生時代の私や友人のことをよく覚えているものですが、おそらく幼稚園の先生たちだって覚えていたりするものなのでしょう――。

子どもと日々関わっている教師、保育者の仕事は本当に尊く、素敵な仕事だなと思えた記事でした。

特定行政書士 寺島朋弥

2024年6月19日

社会福祉法人の設立

ごくまれに、株式会社のお客様から「社会福祉法人を作りたい」とアバウトな相談を受けることがあります。

社会福祉法人は非営利法人ではあるものの、一般社団法人やNPO法人とは違い、作りたいからと言って作れるものではありません。大前提として、社会福祉法に定められている社会福祉事業を行うことを目的とする法人なので、社会福祉事業を既に実施していたり、ほぼ確実に実施できることが見込まれれる状態でないと認可されません。その社会福祉事業は公金(補助金)がないと回らないものばかりですので、公的機関からの信用がないとまず無理です。

そして、原則として社会福祉事業を行うための不動産を所有(賃貸借ではダメ)する見込みがあるか、施設が不要な場合は1億円以上の現金を寄附により保有できる状態である必要があります。(この時点で大抵の方は諦めます)

続いて人的要件として、理事6人以上、監事2名以上、評議員は理事の人数+1人以上(ちなみに評議員全員で構成される評議員会が理事の選任権を握っている)、その評議員を選任するための要員が少なくとも追加で2名ほど必要であり、理事と評議員(株主や社員に近いけど全然違う存在)は兼ねられないどころか、評議員には理事の親族すらなれないと聞いた時点で大抵相談は終わります。

資本を投下して事業で増やして儲かるという、ビジネスの常識から考えると何の意味があるの?と思ってしまうのは当然です。

先ほど社会福祉事業の実施が見込まれる必要があると記しましたが、認可保育園の一例を挙げると、行政の公募を通っていて、児童福祉審議会の承認を得て、なおかつ施設の建設費の補助金(数億円の補助金)の内示が出ていて、数千万円の自己負担分を持っているか、借入できることが確実(例:福祉医療機構の受理票が発行)といった要件が全て揃って「見込まれる」と判断される訳なので、確実に認可保育所を建設し、自己所有できる状態まで持っていって初めて社会福祉法人の設立認可が出るということなのです。

通常、最初の計画からここまでに1年半~2年はかかります。その間幾多の試練を乗り越えて、ようやく法人設立の認可申請ができるということなのです。

ちなみに、弊所では認可保育所の社会福祉法人しか扱いません。(一応小規模保育事業であっても定員10人以上であれば社会福祉事業に該当しますが、その事業単体で社福を設立する話は聞いたことがありません。)

その理由は、社会福祉法人の設立は、実施を予定している社会福祉事業の事業法(保育であれば児童福祉法や子ども・子育て支援法)とも密接な関係があり、その分野の専門的な書類作成が多数あるため、専門外の分野の法人には関与できないことをよく知っているからなのです。

高齢者福祉や障がい福祉関連事業者からのお問い合わせを一律でお断りしているのは、それが理由ですのでどうかご理解いただければと思います。

ちなみに社会福祉法人の設立は、どんな法人であってもドラマがあり、とても大変ですがやり甲斐のある仕事です。少子化の進行により、保育事業での社会福祉法人の設立は今後ますますなくなっていくことは避けられないでしょうけど、お話があれば喜んで伺いますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。

特定行政書士 寺島朋弥

2024年6月18日

他士業連携

社会福祉法人や学校法人に関わっていると、毎年3~6月は他士業との連携が大切になってきます。

3月は翌年度の予算と当年度の最後の補正予算で公認会計士・税理士(会計事務所)さんと、そして新年度を前に就業規則の改定が行われることも多く、その場合は社労士さんと理事会の調整を行います。

4月に入ると当たり前ですが決算地獄。5月下旬の監事監査に向けて、GW返上で取り組んでいる会計事務所さんと様々な調整を行います。監事監査を無事に終えたら理事会の招集手続きに入りますが、並行して行政機関に提出する現況報告や各種調査書の作成をしつつ、資産総額変更や役員変更登記に向けて司法書士さんへ根回しもしておきます。

6月上旬は理事会での決算報告について、中旬はWAM NETの財務諸表等入力シートについて、下旬は評議員会での決算報告について…とにかく連日のように会計事務所さんとやり取りがあります。

そして4ヶ月間の激務の締めくくりは、司法書士さんに議事録やら財産目録を引き継いで登記してもらうこと。ここについては法人設立と同じですね。

法人顧問業務は、毎年同じ時期に同じ流れでこれらの仕事が発生しますが、同じ顧問先であっても内容が同じことはなく、毎年何らかのイレギュラーな事態が発生するものです。そして、その都度各専門家と連携しながら対処する訳ですが、これがなかなか楽しかったりします。

今年の繁忙期も終盤ではあるもののまだ終わっていないので安心はできませんが、日々楽しみながら取り組んでいこうと思います。

特定行政書士 寺島朋弥

2024年6月12日

行政書士と源泉税

保育園や幼稚園は、普段行政書士と取引する機会が少ないところが多いためか、取引の最初の請求時に「源泉税は引かなくていいのですか?」と聞かれることがあります。

税理士や社会保険労務士といった士業事務所とは継続的に取引があることが多いですし、体操・歌の指導(講師)やフリーカメラマンといったフリーランスとも取引が多い場合があることから、「個人事業主からは源泉徴収する」という認識なのだと思います。

しかし、源泉徴収が必要な職種(業務)は所得税法で明示されていて、数ある士業の中でも、行政書士業務は何故か含まれていないのです。よって、行政書士からは「原則として」源泉徴収は必要ありません。この件については、WEB上でもたくさん記述はありますし、国税庁HPでも明示されているところなので、細かい話はそちらに譲ります。

先ほど「原則として」と記しましたが、免除されるのはあくまでも「行政書士業務」の部分のみです。例えばデザインが得意な行政書士が、行政書士業務とWEBデザインの仕事を個人として同時に請け負った場合、WEBデザインの対価に対しては源泉徴収が必要なので注意が必要です。

なお、本題からは逸れますが、領収証への収入印紙についてもちょっとした特別扱いがあり、個人の士業は基本的に領収証への収入印紙が免除されています。特に行政書士の場合は、報酬の領収証は交付義務があるため(お客様がいらないと言っても、法律上の義務のため交付しないといけません。)、案外ありがたい制度だったりします。

ちなみに士業法人の領収証は、収入印紙が免除されていないため、金額に応じた印紙税が必要となります。(電子の場合は不要)

建設業といった日頃から行政書士と取引のある業界であれば常識でしょうけど、保育園のように普段あまり行政書士と接することのない業界の経理さんに疑問に思われがちな点について書いてみました。

特定行政書士 寺島朋弥

2024年6月8日

意見交換

本日は児童福祉に関心のある司法書士さんと社会保険労務士さんとでランチ会を兼ねて意見交換。

その後、お客様の保育園に訪問し、園長先生自らが見学の案内をしてくださいました。

私や社労士さんは保育園で作業をすることは日常ですが、司法書士さんは業務の種類から言っても保育園の中で仕事をすることはないため、新鮮だったようです。快く案内を引き受けてくれた園長先生にも感謝しています。

専門家との意見交換を大切にし、こども+リーガルマインドをコンセプトに、何か面白いことが出来たらいいなと思っています。法教育といったストレートなことではなく、これまでに誰もやったことがない何か――。

こういうことって多忙な時ほど面白い発想ができるものなので、外出だらけで年間で一番忙しい今月ほど、いろいろ考えてみたいと思います。

特定行政書士 寺島朋弥

2024年6月6日

【改正私学法】特別利害関係者とは

来年4月施行の改正私学法では、役員等(理事・監事・評議員)の要件が細かく定められ、小規模の幼稚園が今回の制度改革によって一番お困りなのが親族等の「特別利害関係者」ではないでしょうか。

法律(改正私立学校法31条6項)で明記されているのは「配偶者」と「三親等以内の親族」と「その他省令で定めるもの」とありますが、現時点では本改正に係る省令がまだ公布されていませんが、パブリックコメント(意見公募)の案の時点では、以下が特別利害関係者にあたるとされていました。

  1. 事実婚である者
  2. 使用人である者(要するに役員等から雇われている者)
  3. 役員等から金銭を得て生計を維持している者
  4. 2と3の配偶者
  5. 1から3の三親等内の親族かつ同一生計者

個人的にはそれぞれ自活している同性パートナーはどうなるのだろうとか、いろいろ気になってしまいますが、本題から逸れるのでそれはまた別の機会に。(細かい突っ込みどころを議論したい専門家の先生大歓迎です!)

さて、元々親族経営が多い幼稚園の業界では、結構厳しく思われる条件ではないでしょうか。しかも、理事だけで考えても、最低の5人の場合はこういった関係者が他に1人もいてはいけません。(理事総数が6人の場合は本人と合わせて2人まで可:1/3ルール)

しかし、私学助成や施設型給付費の原資は公金(税金)であり、幼稚園であっても認定こども園であっても、運営費の多くを公金に頼ることになる以上、ガバナンスを強化することは必要なことと考えます。

正直なところ、社会福祉法人も7年前の制度改革の時はどうなることかと心配しましたが、何だかんだ言って経過措置の間にしっかりと対応し、遵法意識が高くなった法人が多いです。(今でも一部残念な事件はありますが…)しかし、私の周りでは、遵法意識が高い法人が運営する園ほど、定員充足率が高く、経営的にも潤っているところが多いのが事実です。

ぜひ、この制度改革を機に、より多くの学校法人幼稚園(認定こども園)がガバナンス強化に本気で取り組み、地域の子どもたちの利益になる園が日本中に増えることを願っています。

特定行政書士 寺島朋弥

2024年6月5日