行政書士と顧問契約
一般企業にとって、士業の顧問と言えば、税理士は法人であればほとんど、中小であれば社会保険労務士、大企業なら弁護士と契約しているケースが多いですが、行政書士の場合も許認可を要する業種の場合、なくはありません。
とはいえ、数年に1回の許認可の更新やら変更のためにわざわざ顧問契約を結ぶといったことは考えづらく、年中所轄庁による監督が厳しい医療・福祉系が多いように思われます。中でも認可保育園の場合は、年間通して常時行政と密接であり、究極を言えば園児一人ひとりの入退園についても行政処分によって行われているため、年間数百の行政作用に囲まれていると言っても過言ではなく、顧問の需要はとても多いです。
しかし、保育行政そのものを熟知していないとまともに仕事ができないこともあり、残念ながらこの分野を取り扱う行政書士が数少ないのが現状です。おそらくできないという訳ではなく、業務をこなせるようになるには年間通して保育行政の勉強に全振りしないといけなくなり、そうなると他の分野の業務を全く扱えなくなるので、そこまで覚悟を決められるかどうかということになるかと思います。(実際私の顧客は100%幼保関係です。)
ちなみに幼稚園は、教育行政(多くは保育課ではなく都道府県の学事課)のほうになるので、先の認可保育園とは全く制度が異なり、保育行政で学んだことを準用できることはほぼありません。(苦笑)また、運営主体として多い、社会福祉法人と学校法人の制度も全く違いますし、更には幼保連携型認定こども園など混ざってきたら全く違う法律の知識が必要になります。
新人さんはこの辺りで混乱していることが多いようですが、これらは全て別々の分野の業務であると割り切って、一つ一つ勉強するしか方法はありません。とはいえ、行政の監査は、施設と法人セット(2つの部署が4~5人で来る)で来ることが多いので、事業+法人の観点は捨てられません。よって、「保育+社会福祉法人」か「幼稚園+学校法人」の知識が整って始めて顧問として活躍できると言ってもいいでしょう。
ちなみに、認定こども園は、保育と幼稚園それぞれの知識を熟知していないと必ず痛い目に遭うので、いきなり手を出すことはおすすめしません。保育や幼稚園を未経験なのに関わらざるを得ないことになった場合は…死ぬほど勉強を頑張るか、私のほうで期間限定で部分的にサポートできる場合もあるかもしれないのでご相談ください。
個人的には、日本全国の市町村に一人ずつくらい、保育を専門とする行政書士がいたらいいのになと思っているので、取扱分野を模索している新人さんで、児童福祉や幼児教育に熱い想いを持ってる方は、是非チャレンジして欲しいものです。
特定行政書士 寺島朋弥
2025年12月19日

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